事例紹介

DXの新しい取り組みに必要な人材を育てる!シミュレーション型研修で開発チームに定着したアジャイル・DevOpsのマインド

株式会社北國銀行様
研修事例
2021.3.30

「次世代版 地域総合会社」を目指し、お客様のニーズに対応するために様々なデジタルトランスフォーメーション戦略、システム戦略に注力している、株式会社北國銀行(以下、北國銀行)。その過程で新たな時代に向けた人材育成の必要を感じ、このたび株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック(以下、ITプレナーズ)の「フェニックスプロジェクト DevOpsシミュレーション研修」を3回実施し、計36名が受講しました。

この研修はシミュレーション型で、受講者は様々な問題を抱えた架空の企業の一員となり、続々と発生する問題に協働して対処しながら業務を遂行し、どのようにDevOpsを実務環境に適用するかを実践的に学べます。
北國銀行では、この研修を実施してどのような成果が出たのでしょうか? 研修に携わった皆様に、新しい取り組みと人材育成にかける想い、そして研修後の成果や行動変容についてお聞きしました!

デジタルトランスフォーメーションの新しい取り組みの中で必要になった人材育成

― まず、自己紹介をお願いします。
寺井さん

人事の責任者で、人材育成と研修企画、採用や配置も担当しています。
北國銀行では、人が一番大事と考えているので、地域貢献する中で人をしっかり育てていくことが私の重要なミッションです。

岩間さん

銀行のシステム開発をマネジメントしています。また、北國銀行全体としてDXを進めようとしているので、そのためにDevOps・アジャイルのような新しい考え方でシステム部だけでなく銀行全体のカルチャーを変えていくことも、もう一つのミッションとしています。

疋島さん

今回のフェニックスプロジェクト研修に受講生として参加しました。融資関連の企画業務と、関連するシステム周りのメンテナンスをしています。

― 北國銀行の事業内容についてお聞かせください。
寺井さん

地方銀行が全国で63行ある中、北國銀行は中くらいの規模に位置しています。今まで一般的には堅実な銀行と言われてきましたが、最近はデジタルトランスフォーメーション(DX)や、新しい施策をしている銀行として名が通ってきました。いわゆる預金・融資・為替など従来からの銀行業務以外に、「次世代版 地域総合会社」としてコンサルティングやカードビジネスなどに注力して、業務の幅を拡大しています。

― 現在、どのような背景があり、どのような新しい取り組みをされているのでしょうか。
岩間さん

取り巻く環境としては、マイナス金利や少子高齢化、地方の人口減、ライバルが他の銀行だけではなくなってきている、などの様々な変化があります。そういった中で、新しいことに取り組んでいかなければならない情勢になってきています。

北國銀行の新しい取り組みとしては、これまでコンサルティングのビジネスや、デビットカードを発行してキャッシュレスのサービスを進めてきました。
これからの話としては、キャッシュレス社会ということもあり、窓口に来るお客様が減ってきています。そこで非対面のチャネルを拡充する取り組みとして、個人向け・法人向けのインターネットバンキングを作っています。現在の情勢で新しいものを作っていくには、スピーディーに、効率的に、お客様が利便性を感じる形で開発を進める必要があります。そのためには、計画通りにモノを作るこれまでのウォーターフォール型ではなく、アジャイルやDevOpsの開発手法を取り入れていかないと、コストや時間がかかってしまったり、その割にお客様が使わないプロダクトになってしまったりする懸念がありました。
そこで、今回のフェニックスプロジェクト研修を通してDXに向けたマインドを醸成したいというきっかけになりました。

― 人事の観点での、新しい取り組みについてお聞かせください。
寺井さん

若い人たちの間では、安定しているから銀行に就職するというより、スキルを身につけたいという人が増えてきています。志の高い人に来ていただくためには組織を変えていく必要がある。いわゆる「半沢直樹」に出てくるようなヒエラルキーのあるピラミッド型組織では、若い人たちがやりたいことができません。そのために、フラットで意見が言い合える組織を目指しています。
また、人材育成という点では、伝統的な銀行業務のスキルだけではなく、「次世代版 地域総合会社」として様々なことをするために汎用的なビジネススキルが必要になります。世の中に通用する、先端を走る仕事の仕方を身につけてもらいたいと思っています。

それと、北國銀行は10年以上前からシステム開発を内製化しています。以前はITベンダーに丸投げでしたが、今は業務側とシステム開発側がチームとして開発を進めていく必要がありますので、チームビルディングも重要視しています。その中で、今回のフェニックスプロジェクト研修を試しにやってみよう、となりました。

― 育成したい人材像について具体的にお聞かせください。
寺井さん

マインドとしては、地域貢献したいという思いをみんなが共有して、その上で自分たちがどう組織に貢献できるかという思いを持っていて欲しいです。
銀行業務についてのスキルや知識は早いうちに身につけてもらいますが、デジタルやITに関する理解も深めてもらい、業務企画側もIT部門と同じようにコミュニケーションがとれて、スピード感を持って業務ができるようになってほしいです。

3か月で人事システムをリリース!確実に表れた研修の成果

― 今回、フェニックスプロジェクト研修を受講した方の業務領域について教えてください。
寺井さん

本部の業務企画部署と、IT部門、システム部門です。日頃からシステム開発するときには密に連携しなければいけないので、そのメンバーでどうやっていけばより効率的になるのか、理解を深めてもらうために参加してもらいました。

岩間さん

IT部門の参加者は、ソフトウェア開発をしている社員がメインです。昨年から、xRMという北國銀行の勘定系以外のシステムを同じスキームで全体最適して、すべて内製で作っていく取り組みを始めたので、それに関わるメンバーが中心となって参加しました。他には、リーダー的な立場の社員も参加しました。
業務側とシステム部内のメンバーが、同じ旗印に向かって、同じベクトルで仕事をしていくというマインドをしっかり醸成し、それによって無駄なものを作らず、スピーディーに作る、ということを目指しました。

― フェニックスプロジェクト研修を受講いただいて、どのような効果が見られましたか。
寺井さん

開発のスピードは上がりましたね。9月から始めた人事システムは、3か月でできていて驚きました。また、自発的に意見を述べるようになってきていると感じます。

岩間さん

IT部門の中でも、効果は実感しています。開発していく中で、細かすぎるところにつっこんでいく傾向がまだあるのですが、そういうときに「これやったら誰が嬉しいんだっけ」「何のためにやってるんだっけ」という言葉を、誰かが言うようになりました。そうなった時にみんなハッとして「これは別にやらなくてもいいんじゃないか」という話にベクトルが戻るようになっています。
また、今回のxRMのプロジェクトはスケジュールが今年9月までと決まっている中で、業務側とシステム側のメンバーが共に研修を受けたおかげで「ここでこだわっていたら間に合わないんじゃないか」「何とかシンプルにできるところはないか」と同じ目線で検討できています。あの研修を受けていなかったら、誰も言い出せていません。同じバックグラウンドがあるので「あの研修でやったでしょ、講師の飯久保さん言ってたでしょ」と言って、軌道修正ができます(笑)

飯久保講師

MVP(Minimum Viable Product)、必要最小限のプロダクトで価値を早く出すというアジャイルの考え方がメンバーに定着したんですね。

岩間さん

中長期的な効果だともう一つあります。私は今、インセプションデッキをプロジェクト案件の最初に作って、必ずベクトル合わせをするということを社内で普及活動しているのですが、今回の研修を受けたメンバーにはスッと入っていきやすいのです。研修を受けたバックグラウンドがあるから、「旗印がないとぶれる」「声の大きい人が入ってきたら困るでしょう」という話をしやすくなっています。人事システムを3か月で作った時も、しっかりとインセプションデッキを作って、頭取も含めて「この優先順位で進めますけどいいですよね」と認識合わせをしました。

研修の様子。グループに分かれてDevOpsを体験する
 

アジャイル・DevOpsの考え方が定着し、覚醒していくチーム

― 疋島さんは受講者の視点では、どのような効果を感じていますか。
疋島さん

今回はいつも業務側の人がシステム側の役割を果たして、システム側の人が業務側の役割をするという、役割をチェンジしたシミュレーション型研修でした。私たちのチームは最終的にうまくいったんですが、あとで他のチームからは「めちゃくちゃだったよ」「喧嘩になって進まなくて、○○さんが諫めた」「バグを放置してたら大変なことになった」などという話も聞きました(笑)
研修を通して、いつも自分が業務側でしかしていない裏側でシステム側はこういうことをしていたんだ、と知れたのはすごく勉強になりました。システム側の人にも、私たちがどういう難しさ、もどかしさを感じているかっていうのを分かって頂けて、お互いを分かり合えたと思っています。
それから、研修を受けた後は、人に何かをお願いするときに「この人はわかっているからある程度お任せしよう」と任せたり、最近来た協力会社の人だったらしっかり説明したり、といった距離感がつかめるようになりました。

飯久保講師

相手の立場になってコミュニケーションができるようになったんですね。

疋島さん

あと、まだ要件についてあまりに細かく聞かれることが多いので、さっき岩間さんが言っていた「研修でこう言ってたから、ここはそんなに細かくやらなくていいよ」っていうのは私もこれから使いたいと思います(笑)

岩間さん

ぜひ、まわりに広めてほしいですね(笑)

疋島さん

今やっているプロジェクトは設計段階なので、非常に細かく決めがちなのですが、私たちからしたら100件に1件あるかないかのケースだったりします。それを協力会社さんにもしっかり伝えて、コミュニケーションをとりながら、必要最低限で進めたいと思います。

岩間さん

補足すると、協力会社さんは過去に、業務側の指示で起こるか起こらないかわからないエラーのための細かい処理を作らされていて、それが漏れていたら障害になって、というのを繰り返したためにトラウマになっているんですよ。そういうマインドになってしまっていたのを、今回の研修を受けて気づいた人が「今はそこまでやらなくていいから」と言えるようになった。

疋島さん

逆に最近は私たち業務側から「シンプルに作りましょう」とシステム側に伝えたりしています。

岩間さん

立場が逆転しちゃったんですね(笑)

疋島さん

昔はシステム側がシンプルに作りたくても業務要件が複雑な場合が多かったかもしれませんが、最近は、最初から100パーセント間違えのないものを作るよりは、少しずつアジャイルで直していけばいいと思っています。とりあえず軽く作ってもらって、そこから必要だったら付け加えてもらう、という考えです。

岩間さん

まさにMVPの考え方が浸透してきていますね。

飯久保講師

100パーセント要件定義してから作るのではなく、まずは早く作ってしまって、不備が見つかったら直すというフィードバックループのサイクルを回していくほうが、最終的に品質が良くなります。そこまで研修を通して実感していただいたのは、講師として嬉しく思います。

岩間さん

飯久保さんはパワフルで熱量も高く、良い影響をもたらして空気を変えてくれるところがあるので、とても良い研修になったと思います。もちろん内容の良さもあると思いますが、飯久保さんだったからより良い研修になったと思います。

― 寺井さんと岩間さんは研修をオブザーブされて、いかがでしたか。
寺井さん

最初と最後のみんなの動きを見ると、驚くくらい変わっていました。最初は一部の人だけが話していて、他の人は傍観している様子がありました。それが研修の終盤では、自分の役割を認識して、自発的に意見を述べ、他の人とコラボレーションする動きになっていたのは驚きと嬉しさがありました。

岩間さん

受講生の中に、覚醒した子がいました。おとなしくて控えめだった子が、この研修をきっかけに、やたらアグレッシブになったんです。何かに押さえつけられていて、開放することを許されていなかったのが、「自分もやっていいんだ、言っていいんだ」と変わりました。それこそ研修の最初は、自分の役割だけ見ていればいいんだという感じでしたが、夕方ごろにはどんどん他の人に口出しして、「もっとこうやろう、ああやろう」とお互いが言うようになっていました。あれがまさにアジャイル・DevOpsの姿だと思って、嬉しく見ていました。

飯久保講師

特に若手の方は「言っちゃいけない」とか「自分の思ったことは間違いだから言わない」とか、自分で壁を作ってしまうことがあるかと思いますが、「そんなの誰も気にしなくていいんだ」っていう気付きがあって覚醒されたんですね。

研修内で、受講者にはそれぞれ役割が与えられる

今後の展望 - ITプレナーズとのコラボレーションでさらなる飛躍を目指す

― 今後の展望についてお聞かせください。
寺井さん

人材育成については、まず、地域のクオリティを上げていくために、より多くの人がプロフェッショナル人材になることが重要です。
また、ITプレナーズさんのような価値観の合う方々とのコラボレーションも重要です。コラボレーションしながら人材を育成して、北陸の地を盛り上げていこうと考えています。

岩間さん

IT部門では、ビジネスに必要なものをしっかり作れるようにしておくことが重要と考えています。そのためには、人を育成して、DevOps・アジャイルを取り入れ、自分たちの中で知見を蓄えながら、システムを正しく作っていく。最短距離で早く作って生産性を上げることで、結果的にはコスト削減にもなります。

― 今後のITプレナーズへの期待をお聞かせください。
岩間さん

石川県金沢の、同じビル、同じメンバーでずっと働いていると、知識もマインドも凝り固まってしまうところがあります。その真逆をいっているITプレナーズさんは、グローバルで、いろいろな企業と付き合いもあり、常に最新の知見を取り入れているので、そういうものをどんどんインプットしていただきたいです。
また、今回のフェニックスプロジェクト研修は方法も斬新で、シミュレーション型で体を使って知識を得られるようなところもありました。今後も、新しいやり方で、良い研修を提供いただけるとありがたいです。

飯久保講師

今回のフェニックスプロジェクト研修のようなシミュレーション型の他にも、eLearningのような動画を見る研修もあれば、講師が前で話す研修もあります。これからも、今まで我々が想像していないような新しいトレーニング手法も出てくると思いますので、そういったところもまたご紹介していきたいです。

寺井さん

今までも我々の組織や個人の課題を把握した上で、色々な研修を提案・実施いただいています。研修をしたことでさらに判明した課題もあるので、今後もさらに、もっとダメ出しいただいて、外から見た意見を遠慮なく言っていただければと思います。外の方から言われたほうが、伝わりやすいと思いますので。

飯久保講師

はい、ダメ出しは得意なので(笑)。ぜひ我々に対しても、忌憚なく改善点を言ってください。それこそアジャイルのようにフィードバックループを回して、今後もコラボレーションを続けていけたらと思っています。

今回は、フェニックスプロジェクト研修を受講いただいて、チームに新しいマインドを醸成でき、多くの方が自律的になったというお話をお伺いできました。基盤が固まっていれば、どんな新しいことにも取り組めます。ぜひ今後とも継続して、両社が新しい世界に行けるようにしていきましょう!


お客様情報 - 株式会社北國銀行

■ 企業概要
北國銀行は、昭和18年12月18日、加能合同銀行・加州銀行・能和銀行の3行が合併して誕生しました。
地域のリーディングバンクとして、「豊かな明日へ、信頼の架け橋を~ふれあいの輪を拡げ、地域と共に豊かな未来を築きます~」の企業理念のもと、地域のさまざまな活動で、リーダーシップを発揮し、「地域の皆さまに信頼され、愛される銀行」を目指しています。
■ 本社所在地:石川県金沢市広岡2丁目12番6号
■ 設立年月日:1943年12月18日
■ 資本金:26,673百万円
■ 従業員数:2,220名(2020年9月末時点)
■ ウェブサイト:https://www.hokkokubank.co.jp/


フェニックスプロジェクト DevOpsシミュレーション研修

DevOpsの原則を適用し、多大な改善と事業価値を達成するために課題やチャレンジに立ち向かう組織を描いた革新的な書籍 「The Phoenix Project」(Gene Kim、Kevin Behr、George Spafford著)をベースに構成されており、 参加者自らが書籍の流れを体験し、どのようにDevOpsを実務環境に適用するかを実践的に学ぶことが可能です。
本コースは、国際的なDevOpsおよびAgileの認定機関である、DASAのコンピテンシーモデルに基づいた設計になっています。


※取材は2021年2月に行いました。(撮影のため一時的にマスクを外しています)

ライター: Nanami Hirokawa