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DevOpsのカルチャーを育てるには?カンファレンス参加者80人にお悩みと解決策を聞いてみた!

2025.5.13

DevOpsを進めたいけれど、社内の温度差や部門間の分断に悩んでいませんか?
実は、そうした声は多くの現場で共通しています。

私たちITプレナーズは、2025年4月15日〜17日に開催された「DevOpsDays Tokyo 2025」にスポンサーとして参加し、来場者の皆さんと「DevOpsカルチャー」について考えるブース企画を実施しました。

アイデアは桜のふせんに、お悩みは困った顔の鳥のふせんに書いていただき、お悩みに役立ちそうなアドバイスや工夫があれば、鳥の近くに桜の花の付せんを咲かせてもらうようにしました。

ご協力いただいた80名の声から見えてきたのは、「認識のギャップ」「行動へのハードル」「組織間の分断」といった、多くの組織で共通する課題です。

本記事では、それらの悩みと現場発の工夫をご紹介します。DevOpsカルチャー醸成のヒントとして、ぜひお役立てください!

DevOpsカルチャー醸成において悩みがちな3つのポイント

集まったお悩みやアドバイス・取り組みの工夫を整理してみると、DevOpsカルチャーを育むうえで直面しやすい課題には、いくつか共通するパターンが見えてきました。

今回は、寄せられた声をもとに、課題を下記の大きく3つに分類して、アドバイスと共にご紹介します。

1.「認識」のギャップを埋めるには?
2.「行動」を促すには?
3.「組織」の連携をスムーズにするには?

1.「認識」のギャップを埋めるには?

DevOpsの必要性や価値が十分に伝わらず、取り組みへの意識がなかなか高まらない状態に課題感を抱える方が多くいらっしゃいました。DevOpsを実践しようと考えたとき、まずぶつかりやすいお悩みではないでしょうか。

【寄せられたお悩み】
  • DevOpsが必要という意識を全員が持てていない
  • DevOpsが必要な人に情報が届かない
  • 開発者(実行者)への浸透が難しい
  • 価値の実感、当事者意識を持ちにくい

ここからは、集まったアドバイスや工夫を紹介します!

経営層と現場、双方への働きかけ

本格的なDevOps導入と実践に取り組む際は、まず組織内のさまざまな立場の人への働きかけがポイントになる、とアドバイスをいただきました。

たとえば「上長クラスだけではなくさらに上層部レイヤーへ直接アピールする」、といった戦略的な動きが効果的だという意見がありました。また「現場の仲間には、ペアプロやモブプロで一緒に作業してみる」といった、体験型のアプローチが有効だと感じている人が多かったです。

その際、いきなり大勢に呼びかけるのではなく「まずは“一人目の仲間”を作る」という意識も大切とのことです。

情報発信の工夫

社内に情報を届けるためには「勉強会やLT(ライトニングトーク=短い時間で行うプレゼンテーション)会を開催する」「自分の学びを小さくても社内で共有する」といった、見える形で発信を増やすというアイデアが寄せられました。

さらに「社内で技術書の貸し出しサービスを始める」といったユニークな施策も共有されていました。

自ら考え、心が動くような場づくり

当事者意識を育むには「Face to Faceで対話する場を意図的につくる」「関係者を集めたオフサイトイベントを開く」など、「心が動く」体験を意識することがポイントだとシェアいただきました。

また、「『全員がリーダー』という雰囲気をチーム内で醸成する」というアイデアも、個々人の自発的な行動を後押しするうえで重要ですね。

2.「行動」を促すには?

DevOpsの考え方には共感しているものの、具体的なアクションに移せない…といったお悩みもよく聞かれました。そこには、心理的な障壁や「失敗してはいけない」というプレッシャーが要因としてある、といった声も多く挙がりました。

【寄せられたお悩み】
  • タスクをこなす視点から価値に向き合えるようにするには?
  • 完璧主義と相談の遅れ
  • 間違った認識や難しさに対する恐れが大きい
  • 起こっていないけど不安で立ち止まってしまう

こうしたお悩みには、どのような工夫ができそうでしょうか? 寄せられた意見を紹介します!

「失敗してもいいじゃん」の空気づくり

行動を変えるには、まず「やってみてもいい」と思える空気をつくることが大切だという声が目立ちました。

たとえば、ただタスクを終わらせる状態から、「価値が生まれる瞬間を楽しむ」視点を持とうという呼びかけ。成果が出るプロセスそのものを前向きに捉えることで、自然と行動が変わっていくという提案です。

その際、完璧主義や不安に縛られて動きが鈍る場合には「『失敗してもいいじゃん』という空気をチームに根付かせる」という素敵な意見が寄せられました。

特に印象的だったのは「Don’t be afraid to experiment with DevOps!(DevOpsへの挑戦を恐れないで!)」というメッセージ。小さな挑戦を積み重ねることが、大きな成長につながると励まされる言葉です。

話しやすい関係性を日常からつくる

「普段から雑談も交えて接する」「定期的に話す場を設ける」「『関係の質』を高めることから始める」といった、日常的なコミュニケーションの機会を意識して増やし、気軽に相談しやすい関係性をつくる案も多く出ました。

「会議やミーティングでは、誰もが気軽に発言できるようにする」といった、明日の会議からさっそく活用できそうなアイデアも!

3.「組織」の連携をスムーズにするには?

部門ごとのサイロ化や役割・文化の違いからくる分断が、DevOps推進の大きな障害になっているという声が多く寄せられました。

【寄せられたお悩み】
  • サイロ化をどうにかしたい
  • 属人化をやめたい!
  • ゴールに対するアライメントを揃えたい
  • 部の壁を越えたコミュニケーションがまだまだ
  • 経験の違いによる考え方(文化)の差
  • 問題が起こるたびにDevとOpsを分離しろ!という議論になる
  • 社内文化ってどうやってアップデートするの?

組織をまたいだ大きな悩みにも、心強いアイデアがたくさん集まりました!

共通認識を持つ仕掛けを整える

サイロ化を乗り越えるには「まず対話を重ねること」。「合宿をして集中的に交流する機会を設ける」といった施策も有効とのことです。

前提として、文化や経験の違いからくる価値観のズレに対して「まず相手の考え方に寄り添うこと」が大切だという意見がありました。

また、「部門をまたいで共通の目標(数字)を持つ」「全員で毎日同じログやダッシュボードを見て状態を共有する」といった共通認識づくりの工夫も、スムーズな連携を促すヒントになりそうです。

偶発的なコミュニケーションの機会を生み出す

部門間のコミュニケーション促進には「ランダムにCoffee Chatを設定する」「社内コミュニティを立ち上げる」「横断ワークグループをつくる」「企画・開発・テストで共通の目標を持つ」など、偶発的な接点や共通体験を意識的に増やす工夫が紹介されました。

社内の共有スペースにお菓子を置いておき、集まった人と自然に話せる仕掛け、その名も「おやつ神社」「ティーパーティーを開く」など、遊び心を取り入れたアイデアも寄せられました。

ナレッジ共有の仕組みづくり

さらに、属人化解消には「インナーソース(内製のソースコードやナレッジをオープンに共有する仕組み)を推進する」「ペアプロ・モブプロを取り入れる」「GASなどで小さなツールを一緒に作ってみる」といった、知識や経験をチームで共有するための工夫が必要だという声がありました。

「Platform Engineering Teamを組成する」ことによって、ナレッジ共有しやすい体制を整えてしまうのもインパクトが大きそうです。

まとめ

集まった声から見えてきたのは、どの課題解決にも「対話」が鍵になっているということでした。

部門を越えて対話する、心理的な壁を越えるために対話する、価値を共有するために対話する。DevOpsカルチャーを育てるためには、まず「話すこと」から始まるのかもしれません。

本記事が、自組織のカルチャーづくりに取り組む皆さんのヒントや後押しになれば幸いです。

ITプレナーズでは、DevOps推進に欠かせないカルチャー醸成や部門間の連携を支援する研修もご提供しています。無料相談も承っていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください!