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【アーカイブ動画付き】ITSM実践者のリアルな事例とキャリアに触れる「ITSM Japan Summit 2025」イベントレポート

2025.11.20

2025年9月10日、株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィックとITサービスマネジメントをコアとする専門コンサルティング・ファームの株式会社IT VALUE EXPERTSの2社の共催で「ITSM Japan Summit2025」を開催しました。イベントの様子を、アーカイブ動画とともに紹介します!

「ITSM Japan Summit」イベント概要

「ITSM Japan Summit」は、ITサービスマネジメント(以下、ITSM)に携わる方々のための、学びとつながりを創造する場です。2025年の開催で第6回を迎え、毎年さまざまな企業のIT部門・事業部門の方、ITプロバイダ企業の方にご参加いただいています。

今年のテーマは「変革の時代を進むための羅針盤を手に」。

不確実性が高まり、将来の見通しが立てにくいこの時代、企業経営の舵取りはこれまで以上に難しくなっています。このような環境下で、ビジネスを支えるITには、安定したサービス提供にとどまらず、変化への柔軟かつ迅速な対応、そして価値創出への貢献が求められています。

そこで、ITによる価値創出を導く「羅針盤」に、ITSMをなぞらえました。

また、これまでITSMに関わってこなかった方々も、新たにその重要性に触れる機会が増えてきています。そこで、これからITSMを学び始める方、現場で実践中の方、ITSMのエキスパートとしてさらなる高みを目指す方、それぞれに役立つ内容のセッションをご用意しました。

なお、本イベントでは2022年より毎年、落描人カエルンさん(@vpkaerun)にオンラインホワイトボードツール上で素晴らしいグラフィックレコーディングを描いていただいています。リアルタイムでセッションの内容がわかりやすく、魅力的に描かれていく様子は、学びの理解を深めるとともに、イベント全体の雰囲気を一層盛り上げてくださいました。

グラフィックレコーディングは本レポートにも掲載させていただいておりますので、ぜひ動画とともにご覧ください。カエルンさん、本当にありがとうございました!

また、昨年に引き続き、オンラインセッション後のアフターパーティーを東京・麹町にあるITプレナーズのオフィスにて開催。セッション登壇者の方とともに、ITSMに高い関心と熱意を持つ方が多く参加いただき、活気ある交流の場となりました。

オープニングセッション

オープニングは、主催企業の両代表からの挨拶で始まりました。
続いて「今、押さえたいITSMトレンド」として、以下のようなトピックが共有されました。

  • ITSMの普及を目的とした業界団体itSMF JapanがCeFILに吸収合併
  • ITSMの市場ニーズは引き続き堅調
    • ITIL® 4の活用を検討する企業の増加
    • 開発と運用のインタラクションの増加
  • ITSMツールの進化
    • ゲームチェンジャーとしてのAI機能
  • ISVマップにITIL® 4上位資格が掲載
  • PMBOK®第8版の動向

セッション1:ITSMの航海を始めた人の羅針盤 「今こそ知りたいITSMの基礎と可能性──製造業と開発者に迫る“サービス化の波”」

【登壇者】
最上 千佳子/株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック 取締役

まずはITプレナーズの取締役である最上が、ITSMをこれから学び始める方に向けて、サービスマネジメントの基礎をわかりやすく解説しました。

後半では応用編として、ITSMがIT運用領域に留まらず、製造業で進む「サービスシフト」や開発現場でいかに役立つかを紹介。ITSMに対する長年の誤解を解きながら、開発者がITSMを知るべき理由にも触れ、「あらゆる仕事はサービスである」という視点のもと、ITSMの持つ幅広い可能性が示されました。

カエルンさんによるグラフィックレコーディング

セッション2:現場で変革に挑む人の羅針盤 「複雑化するリスクへのアプローチ -より早く、より正確に、より効率的に-」

【登壇者】
平川 歩氏/東京海上日動システムズ株式会社 ITインフラサービス本部 インフラソリューション四部長 兼 ITサービス管理部 シニアスペシャリスト(ITサービスマネージャー)
佐野 大樹氏/東京海上日動システムズ株式会社 ITインフラサービス本部 ITサービス管理部 ITマネージャー

続いてのセッションでは、東京海上日動システムズ様におけるITSMの全体像と、現場での実践事例が紹介されました。

特に実践例として、サービスの構成要素が変化する中で複雑化するリスクにどうアプローチしているのか、具体的な取り組みと共に解説されました。また「運用リスク相談会」などを通じた開発部門との関わり方や、次年度プロジェクトへのアプローチ、さらには過去にリスクが顕在化した際のリアルな体験談も共有され、現場での効率的かつ正確なリスク管理の実践についてお話しいただきました。

カエルンさんによるグラフィックレコーディング

セッション3:極める人の羅針盤 「ITSMのリアルキャリア 三者三様の選択とこれから」

【登壇者】
広木 共郷氏/株式会社IT VALUE EXPERTS 代表取締役社長
加藤 明氏/PwC Japan合同会社 インフォメーションテクノロジー マネージャー
小関 陽介氏

本セッションは、ITSMを中心にキャリアを築いてきた3名の登壇者による鼎談形式で実施されました。

冒頭では、それぞれのキャリアパスが紹介され、その後「仕事のポジション」「スキル構築」「これからのキャリア」といったテーマで議論が展開。三者三様の視点からリアルな経験や今後の展望を語り、ITSMに関わるキャリアの広がりを実感できる内容となりました。参加者からの質問に回答しながら、インタラクティブなセッションとなりました。

カエルンさんによるグラフィックレコーディング

アフターパーティー

オンラインセッション後に開催されたアフターパーティーでは、登壇者の方々に一般参加の方も加わり、約40名が交流を楽しみました。食事とドリンクを囲みながら、30分ごとにテーマを変えてグループがシャッフルされる仕組みにより、様々な会話や新たな出会いが生まれていました。

さらに、ITSMに関する相談ができる「エキスパートクリニック」も会場内で開催。主催の広木氏に加え、ITプレナーズの渡辺講師も参加し、意見交換が活発に行われる有意義な時間となりました。

参加した皆様からは、「久しぶりに会った人や、普段なかなか交流の無い人と会い、情報交換できました」「初めての参加でしたが、とても有意義でした」と嬉しいお声をいただきました!

おわりに

今年もオンラインセッション・アフターパーティー共に多くの方にご参加いただき、ITSMに関わる人々が学び、語り合い、つながる活気のあるイベントとなりました。
今後も、ITSM実践者の皆さまをつなぐコミュニティとして、学びと交流の機会を提供できれば幸いです。

来年の「ITSM Japan Summit」にて、また皆様にお会いできることを楽しみにしています!