事例紹介

カスタマーサクセスチームが学ぶ、お客様との「合言葉」となるDevOpsの基礎トレーニング

CircleCI合同会社様
研修事例
2021.9.29

CircleCI合同会社(以下CircleCI)は、世界最大規模を誇る継続的インテグレーション&継続的デリバリー (CI/CD) のプラットフォーム「CircleCI」を提供している企業です。

CircleCIのカスタマーサクセスチームは、お客様により適切なサポートを提供するために、チームメンバーのDevOpsに関する基本的な知識を高めていくことにしました。そしてサーバントワークス株式会社とITプレナーズに研修を依頼し、2021年4月にチーム全員で「DASA DevOps ファンダメンタル」を受講しました。

今回の研修を受講された是村さんと矢口さんに、研修実施までの経緯や研修の様子、受講後の成果について、お話をうかがいました!

是村 潤さん
CircleCI合同会社
Regional Director of Customer Success, Japan and APAC

矢口 千聖さん
CircleCI合同会社
Customer Success Manager

岡本 宗之
ITプレナーズ 代表取締役社長

お客様のサービス活用支援のために、DevOpsの基本的な知識を高めるトレーニング

― はじめに、御社の事業内容をお聞かせください。
是村さん

CircleCIは、デベロッパーの継続的インテグレーション&継続的デリバリー(CI/CD) を支え、生産性を上げるためのサービスを提供している会社です。アメリカのカリフォルニアに本社があり、日本オフィスは2018年から日本とAPACのお客様を担当しています。

― 是村さん率いるカスタマーサクセスチームの業務内容をお聞かせください。
是村さん

カスタマーサクセスチームは、サービスを使われているお客様が、さらにサービスを活用して、目的を達成するための支援をしています。
最近、SaaS企業で導入するところが増えていると思いますが、カスタマーサクセスチームはいわゆる「カスタマーサポート」とは別の働きをしています。お客様の活用状況を見て、こちらからプロアクティブにアプローチし、よりサービスを活用いただけるよう支援します。

― どのような課題を解決するために、研修を依頼しましたか?
是村さん

まず、グローバルのカスタマーサクセスチーム全体で、技術的な知識をより高めていこうという動きがありました。CI/CDのサービスなので、お客様は全員デベロッパーです。デベロッパーであるお客様と会話し、適切なサポートを提供するためには、技術的な知識を持っていることが必要不可欠です。
そして、DevOpsにはCI/CDが含まれており、サービスを提供する際に重要な考え方なので、まずはDevOpsについての基本的な知識をカスタマーサクセスチーム全体で高めていこうという方針になりました。

― 「DASA DevOps ファンダメンタル」研修を選んだ経緯をお聞かせください。
是村さん

アメリカでは別のDevOpsトレーニングを実施していたのですが、言語が英語のみで、開催時間もアメリカに合わせており、時差がありました。そのため、日本は日本で、同じようなDevOpsの基礎的な知識を学べるものを探すことにしました。
DevOpsの研修を探す過程でコース「DASA DevOps ファンダメンタル」を見つけました。アジェンダを見ると、アメリカで実施したトレーニングとカバーしている領域が似ており、基本的な内容だったので、この研修に決めました。
そこで、サーバントワークス株式会社とITプレナーズに本コースの実施を依頼しました。

岡本

日本におけるDevOpsのトレーニング市場についてお話しすると、特定のツールの使い方についてのものが多くなっています。それも現場で必要になる知識ではありますが、もっと体系的にDevOpsを学べるトレーニングは少ない状況です。基本的な知識を体系的に学べることは、今回選んでいただいた「DASA DevOps ファンダメンタル」の特長でもあります。

是村さん

特定のツールの内容ではないことも、まさに我々のニーズと合致したところですね。 お客様は我々の製品だけを使っているわけではなく、色々なサービスを活用してDevOpsやCI/CDの環境を作っています。どのようなパターンのお客様ともお話しできるように、特定のツールの使い方ではなく、ベースとなるDevOpsの知識を身につけるのが目的でしたので、この研修が適していると思いました。

研修を受講し、チーム間やお客様との共通認識・共通言語が生まれる

― 研修を受講した感想をお聞かせください。
是村さん

事前の期待通り、DevOpsの基本的な知識を体系的に学べました。また、講師の長沢さんが実務経験豊富な方だったので、教材を説明するだけでなく生の話を聞くこともでき、個人的には期待値以上でした。

研修内の演習は、ある航空会社がDevOpsで社内のシステムを改善していく、というのがベースのシナリオになっていました。それぞれのステップごとに「何から始めるか」「どのような障害が予想されるか」といった課題が出て、受講者同士で話し合いました。基礎となる講義と応用となる演習を何度も繰り返したので、身につきやすく、飽きが来ないのも良かったと思います。

矢口さん

私は、以前はまったく違う業界にいたこともあり、開発の専門知識もありませんでした。そのため、研修を受講する前は内容が理解できるか自信がなかったのですが、講師の長沢さんがたくさん事例を紹介して、かみ砕いて説明してくださったので、想定していたより問題なく内容が理解できました。
また、初めて聞く単語がいろいろ出てきたのですが、それをストーリーで繋げて教えていただいたので、覚えやすかったです。試験を受けているときも、ストーリーで思い出せました。

岡本

長沢さんは弊社と業務提携して講師をされていますが、DevOpsのスキル開発を目的としたグローバルコミュニティ「DASA」のアンバサダーとしても積極的に活動されています。DASAの理念である、DevOpsの正しい知識を多くの人に届けたいという想いを持って、事例などを多く取り入れたわかりやすい講義をしていただいています。

― 今回の研修はオンラインLive形式でしたが、受講体験はいかがでしたか。
是村さん

オンラインLive形式でのトレーニングは、社外のものは今回が初めての受講でした。オンラインホワイトボードの「MURAL」を使ってインタラクティブなやりとりもでき、講義中に質問もしやすい雰囲気でした。実施前はオンラインでの研修に懸念もあったのですが、スムーズにできたと思います。

矢口さん

標準では2日間のカリキュラムをCircleCI向けに0.5日✕4回で受講したので、1日のうち半分は通常の業務にあてることもできました。オンラインだと集中力を持続するのが大変ですし、ボリュームも多く内容も濃かったので、半日ずつ受講できて良かったです。

オンラインホワイトボード「MURAL」を使用した演習
― 今回実施した研修によって、どのような成果や行動変容が生まれていますか?
是村さん

カスタマーサクセスチームはエンジニアのチームではないため、みんなそれぞれ違うバックグラウンドを持っています。それが、今回の研修を受けたことで、チームで共通の認識が生まれ、共通言語ができました。
特にDevOpsのカルチャーの面や、組織として取り組む必要があるという部分は、チーム全員で認識が合った状態で会話ができるようになりました。

また、チームだけでなく、デベロッパーであるお客様との共通の認識・共通の言語も理解が深まったと思っています。お客様の話す言葉がわかり、お客様が何をすれば嬉しいのか、何を大変だと感じているかがわかるというのは、カスタマーサクセスにとっては非常に重要なことです。今後もお客様への理解を積み重ねて、チームとしてのスキルを高めていきたいと思います。

矢口さん

開発のバックグラウンドがないため、これまでお客様と話すとき相手のニーズを理解するのに自信が持てなかったのですが、今回の研修で体系的にアイデアを学ぶことができたので、前より自信を持ってお客様とのミーティングに臨めています。
他にも、お客様向けに開催するウェビナーで、今回の研修で学んだDevOpsのスプリントや振り返りについて紹介したところ、APACのお客様から好評なフィードバックをいただけたことも嬉しい成果でした。

DevOpsの考え方を広め、お客様との「合言葉」がある世界へ

― 今後カスタマーサクセスチームの展望について聞かせてください。
是村さん

カスタマーサクセスチームの目的は、製品を活用してお客様に目的を達成してもらうことです。今後もトレーニングで力をつけて、さらにお客様を成功へと導く支援ができるチームになることを目指しています。 また、チェンジマネジメントやプロジェクトマネジメントも必要になると思うので、そういったスキルも向上させていきたいですね。

矢口さん

さらに弊社の製品をお客様の本当のゴールに沿っておすすめできるように、引き続きDevOps周りの勉強をしていきたいと思います。

― 今後、ITプレナーズにどのようなことを期待しますか?
是村さん

日本にはこれから、DevOpsの価値観を取り入れて、内製化を進め、変わっていかなきゃいけない企業が増えていきます。ITプレナーズにはぜひ、そうした企業に対して、どんどんDevOpsの考え方を普及していくお手伝いをしてほしいですね。

岡本

ありがとうございます。私としては、このトレーニングが「ツールを提供する立場の方」と「ツールを使う立場の方」の合言葉になってほしいと考えています。
これからもDevOpsの価値観を広め、御社のお客様の立場のかたにも合言葉が広がることによって、御社のビジネスも進めやすいような世界を作っていきたいと思います。


担当講師からひとこと

長沢 智治講師

サーバントワークス株式会社 代表取締役

一社様研修のご依頼であったため、CircleCI様の受講の目的を事前にお伺いし、ユーザー様との接点となるカスタマーサクセスとしてのより現場感を持ってもらえるように重点演習の設定や私の経験や事例を多くお話しさせていただくようにいたしました。

サーバントワーク株式会社では、現場支援で培ってきた知見を基にした研修の提供を心がけています。研修と現場支援は循環する関係にあるのですが、それらを一社様内はもちろんのこと、あらゆる業種や職種向けに実施している現場支援とも大きな意味で循環させることで、実施すればするほどに研修も現場支援も磨きをかけ、お客様と業界に貢献できるようにしております。

人材育成は欠かすことができなく、また常に重点課題のひとつとして掲げられています。通常業務と研修の両立は課題ではありますが、価値の源泉である従業員満足度や積極的関与はこれからより注力点となっていくと考えています。そのため、より柔軟な実施形態での提供は研修提供社として努力と工夫で貢献できるポイントとなります。実施形態のご要望にお応えするだけでなく、ご事情をヒアリングさせていただいた上でこちらから積極的にご提案をさせていただきます。

お客様情報 - CircleCI合同会社

■ 企業概要
CircleCI は、世界最大規模を誇る継続的インテグレーション & 継続的デリバリー (CI/CD) プラットフォームです。規模を問わずアイデアからプロダクトをスムーズに生み出せるよう、エンジニアをサポートしています。
■ ウェブサイト:https://circleci.com/ja/

DASA DevOps ファンダメンタル

この2日間のコースでは、受講者にアジャイル、DevOpsの主要な原則を幅広く紹介します。
DevOps Agile Skills Association(DASA)によって定義されている12の主要な知識とスキルの能力すべてを網羅したコースです。 主要なDevOps概念と用語、ケーススタディやシナリオ、グループディスカッション、およびコースに含まれる事例によって、DevOpsの基本的な知識を習得します。


ライター: Nanami Hirokawa