事例紹介

スクラムチームのコミュニケーション改善で、自律的で一体感のある組織に

エヌエヌ生命保険株式会社様
研修事例
2022.7.5

自社システム開発において10を超えるスクラムチームを有する、外資系生命保険会社のエヌエヌ生命保険株式会社。アジャイルを導入し、現場でスクラムチームを運営していくにあたって、段階的に組織が大きくなってしまったことによる課題を抱えていました。

同社は、2021年11月にITプレナーズが提供するScrum.org™の「Professional Scrum Master™」を受講。アジャイル・スクラムの原理原則を習得することはもちろん、研修内でのコミュニケーション体験が社内のスクラムチーム運営に役に立ったと語ります。

今回は、全社でアジャイル推進に取り組む三木様、スクラムマスターとして開発現場に携わる齋藤様に、学びと組織の変容について伺いました。

システム内製化を機に、全社でアジャイル開発を導入

—お二人の担当業務を教えてください。
三木さん

全社のアジャイル推進チームに所属しております。社内向けアジャイルイベントの企画・開催、アジャイルトレーニングの提供などを通じて、アジャイルマインドおよびアジャイルプラクティスの浸透を目指して活動しています。

齋藤さん

私は、開発部門にてスクラムマスターを担当しております。現在は4つのチームを並行して見ています。

—貴社のこれまでのアジャイルの取り組みについてお聞かせください。
三木さん

自社システムの内製化に伴い、当社では2018年から本格的にアジャイル開発を導入しました。スピーディーにシステムを開発して、なるべく早くお客様のもとに必要な機能をデリバリーする環境を整えたいと考えたからです。

 

現在は、社内に17のスクラムチームが存在します。当初は1人のスクラムマスターが1チームを専属で見るスタイルで進めてきましたが、各チームでプラクティスが積み上がり、自走できるチームも出てきました。そのため、2020年頃からは複数のチームを見るスクラムマスターも誕生しています。そういった経緯から、齋藤さんには複数のスクラムチームを見てもらっています。

社内の「スクラム知識差」や「スクラムチームの一体感」に課題

—アジャイル開発において、課題に感じていることはありましたか?
三木さん

大きく2つありました。1つは、段階的に組織が大きくなったことで、チーム間またはメンバー間のアジャイル・スクラムに関する知識と経験値にばらつきが出てきてしまったことです。

 

自走できるスクラムチームも生まれた一方で、メンバーの入れ替わりなどによってどうしてもこの問題が発生してしまっていました。また、スクラムチームに所属しないステークホルダーとなる関連部門の社員にも、アジャイル開発を理解してもらう必要があると考えていました。

 

もう1つは、会社全体のスクラムチームを取りまとめる立場として、アジャイル開発に携わる社員へのケアが十分にできていなかったことです。より体系立てたトレーニングプランを提供したいという思いがずっとありました。

齋藤さん

日々開発に携わっていて思うのが、直面するフェーズやメンバーのコンディションによって、チーム全体が常にプロアクティブな姿勢で仕事に臨むことが難しい場面も少なくないということです。スクラムマスターとして、チームの文化醸成に課題を感じていました。

 

また、自らの意識の改革をすることが難しく、適切にコーチングをしないと能動的に開発を進められないチームもあったため、運営方法について常に悩んでいる状態でしたね。

—今回の「Professional Scrum Master™」研修に期待していたことはありますか?
三木さん

そもそも、どのような研修が参加者にとって効果的なのか、アジャイルトレーニングを提供する側の視点で気づきやヒントが得られればと期待していました。私自身、以前に別のスクラムマスターの認定資格を取得していましたが、少し時間が経っていたので、改めて復習がてら学び直しができることもありがたかったですね。

齋藤さん

コロナ禍で、メンバーとリモートでのやり取りがメインになり、コミュニケーションにおいて感じる課題も多くありました。今回の研修もオンライン開催だったので、リモートでどのように活発なコミュニケーションを生むのかという点に注目していました。

—研修を受講して、一番の学びをお聞かせください。
三木さん

知っているつもりだった原理原則について「本当はこういう意味だったのか」「こういうふうに説明するとわかりやすいんだ」と改めて気づくことができました。講座内のディスカッションやワークでは、スクラムチーム運営の難しさを体感する場面もあり、現場の悩みに触れるような貴重な経験ができたと思います。

 

それから、他社の方々とも意見交換や交流の時間を持てたのが有意義でした。会社全体にアジャイルマインドや具体的な手法を浸透するにあたって、やはり壁にぶつかることが多いです。アジャイル開発では、みんなが同じゴールを目指して最善を尽くすことが必要ですが、なかなかチームの足並みがそろわないときにどうするべきか。ベストプラクティスを探すのに、皆さんも手探りでやっているんだなと。悩んでいるのは当社だけではないのだと、励みにもなりましたね。

齋藤さん

講師の方々のコミュニケーション、特に考えさせるための投げかけや間の取り方が非常に上手だと感じました。そのおかげで、チームで演習に取り組む際には「あの解説はこういう意図だと捉えたのですが、どう思いますか?」と、より議論が深まっていったんです。

 

スクラムマスターは、メンバーに対して発言したり働きかけたりすることも多いですが、チームの一体感や活発な意見交換を生み出すには、まずはこちらが「聞く」姿勢や「待つ」姿勢も大事なのだと気づきを得られました。

 

また、スクラムマスターの実務経験があるといえど、試験は解きごたえのある内容だったのも印象的です。試験を通じて、自分なりに曲解していた部分の認識を改めることができてよかったです。

コミュニケーション促進により、自律的なスクラムチームへと進化

—今回参加した研修によって、社内でどのような成果や行動変容が生まれていますか?
三木さん

これまでは大まかなアジャイルトレーニングの計画しか立てられていませんでしたが、今回の受講を通じて、原理原則を体系立てて学ぶ場や、会社としてのロードマップの必要性を再認識しました。

 

そこで現在、トレーニングプランを練り直しているところです。スクラムマスターやプロダクト・オーナー(PO)など、役割別に必要なスキルや知識を洗い出して、必要なタイミングでトレーニングを提供できる仕組みづくりに着手しています。

齋藤さん

各スクラムチームには自然発生的なチーフエンジニアがおおむね1名程度いて、これまではPOとスクラムマスターとチーフエンジニアで要件を固めていくことがほとんどでした。研修受講後は、学んだコミュニケーションのあり方をチームでも実践するようになりました。

 

打ち合わせで、他の開発メンバーにも発言を促すことによって、自発的かつ新たな視点のアイデアが出てくるようになったり、相互理解が深まったりと、早速効果を感じています。私の手を介さずとも物事を進めていけるスクラムチームに変容しつつあります。

—「Professional Scrum Master™」は、どんな方におすすめでしょうか?
三木さん

やはり、現場でスクラムを実践する人にぜひ受けていただきたいですね。これからスクラムマスターを目指す方にも、体系立てて原理原則を体得できるとてもよい機会だと思います。

齋藤さん

加えて、スクラムマスター以外の役割を担当する人にもおすすめしたいです。スクラムマスターが何をするべきかをチーム全員が理解することで、よりスムーズなチーム運営につながるのではないでしょうか。

—ありがとうございます。最後に、お二人の今後の展望をお聞かせください。
三木さん

スクラムチームの皆さんに、正しいアジャイル・スクラムの知識を根付かせていくべく、全社的な体制づくりや各種施策を進めていきたいと思います。

齋藤さん

スクラムチームが増えているので、今後は大規模アジャイルフレームワークについても改めて勉強して、考えを取り入れていきたいなと思っております。

 

ゆくゆくは、スクラムマスターがいなくても回るようなチームをつくっていきたいですね。そうすれば、会社としてもより良い成果物が提供できるはずです。まずは自らがスクラムマスターとして貢献できることを実行しつつ、エンジニア一人ひとりにアジャイルマインドを浸透させていきたいと思います。


お客様情報 - エヌエヌ生命保険株式会社

■ 本社所在地:東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 44階
■ 設立年月日:1986年4月1日
■ 資本金:324億円 ※2020年度(2021年3月期)決算より
■ ウェブサイト:https://www.nnlife.co.jp/

Professional Scrum Master™ (PSM)

Professional Scrum Master™(PSM)は、プロフェッショナル・スクラムとスクラムマスターの役割をしっかりと理解する、演習中心のインタラクティブなコースです。ディスカッションと演習の組み合わせで、スクラムの基本原則とアジャイルのマインドセットを深く理解し、成功するスクラムチームが実践しているプラクティスを学びます。

また、このコースには、世界的に認められているProfessional Scrum Master™ I(PSM I)認定試験も含まれています。


※取材は2022年5月に行いました。

ライター: Yui Murao