2025年12月16日、Agile Studio by 永和システムマネジメント×ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック共催によるハイブリッドイベント「Biz ❘ Dev ❘ Opsの壁を越えて進化する!目指すは『顧客への価値提供』 ~ Agile Studio Live」を開催しました。
本セミナーでは、ITプレナーズ取締役・最上が「BizDevOps」をテーマに講演。続いて、株式会社永和システムマネジメント 代表取締役社長・平鍋氏と、現場で直面しがちな「壁」を切り口に対談が行われました。
当日は、福井の Agile Studio Park FUKUI BASE からのライブ配信に加え、東京・麹町のITプレナーズオフィスにサテライト会場を設置。オンライン・会場ともに活発なQ&Aが飛び交い、配信終了後の会場での感想戦でも対話を通じた学びの時間が生まれるイベントとなりました。
当日の様子をレポートでお届けします!
最上の講演では、事業(Biz)・開発(Dev)・運用(Ops)の間で起こりがちな状況を例に挙げながら、それぞれの立場に思いがあるからこそ、関係性に「壁」が生まれてしまう背景が語られました。
そのうえで、DevOpsを実践する際には、開発と運用が協働すること自体を目的とするのではなく、「事業成果を達成する」ための手段として捉えることが重要であると示されました。事業部門も含めてBiz・Dev・Opsが共通の目標に向かうことで、価値創出のサイクルはよりスムーズに回り始めます。
この考え方の軸となるのが、「サービスの観点(=顧客志向)」です。顧客が何を実現したいのかを起点に、アジャイルやDevOps、クラウド、生成AIといった技術や手法を“目的ではなく手段”として選び取ること。その姿勢こそが、立場を越えて壁を乗り越えるための第一歩になると語られました。
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講演を受けて始まった対談パートでは、部門間のコミュニケーションにおいてまず大切にしたい根本的な考えが示されました。平鍋氏は、対立はどの組織でも起こり得るとしたうえで、昨今では対話の量を増やすことが早期の問題解決につながると解説。
話し合う時には、まず相手への感謝の気持ちから始めること、自分が何のために仕事をしているのかを言葉にすること、そして悩みや思いを率直に開示することが重要だと語ります。
これに対し最上も、相手の目的を汲み取り、それを言葉にして返すことが、立場の違いを越えた対話の出発点になると応じました。
その後は、参加者から寄せられた問いをもとに、平鍋氏と最上が現場でよく直面する「壁」について意見を交わしました。ここでは主なQ&Aの様子を紹介します。
最上
最初は難しいかもしれませんが、複数の部署をまたいで対話の場をつくることが重要です。
平鍋
『Fearless Change』という書籍では、有効な取り組みの一つとして、組織のしがらみのない第三者のビッグネームを招いて講演会を行い、その後に意見交換の時間を作るというアイデアが紹介されていました。可能であれば、話し合いの場に軽食や飲み物を用意したり、ランチに誘ったりするのもおすすめです。食事を囲むことで、打ち解けやすくなる効果もあります。
最上
あくまでも私の経験談ですが、運用部門にいた頃はOpsの立場が一番弱いと感じていて、提案があっても言いにくい状況でした。(会場内で、Ops担当の方から共感の反応あり)会社によって関係性が異なるかもしれませんね。
平鍋
過去ご一緒した企業からは「上流はお客様。そして、下流は神様です。なぜなら、下流の存在がなければものが作れないから」と言われたことがあります。自分の両サイドにいる人たちには、リスペクトを持つべきだという意味だと捉えています。
また、アジャイルを実践するうえでのポイントは、開発要望に対する見積に文句を言わないこと。そのうえで優先順位をお客様に選んでもらうんです。そうすると、開発も無理のないペースで着手でき、目的も達成しやすくなります。
最上
そもそも、お客様との信頼関係を構築することが大切ですね。
平鍋
プロジェクトのフェーズによって必要な会話量は変わってきます。安定してきたら会話量が減っていくのも自然なことです。ただ、必要な局面では、合宿のような形で集中的に話すのも一つの手だと思います。
最上
やはりマインドが大切ではないでしょうか。一緒に進めていきたいという思いがなければ、どれだけ技術があっても、うまくはいきません。
平鍋
一方で、いきなりマインド醸成も難しいかもしれません。まずは関係者全員で、小さくても良いので何か成功体験を作れるとよいですね。
最上
生成AIを使わない、という選択肢はもうありません。問題は「使うかどうか」ではなく、「どれくらい・どのように使うか」だと思っています。
平鍋
私自身はバイブコーディングは行いますが、エージェンティックAIは限定的に使っています。コードの良し悪しを判断できなくなったら、エンジニアである意味が薄れてしまうという思いがあるからです。
最上
要するに、任せどころ・使いどころの話ですよね。意思決定や対話が必要な場面は、人間が担うべき領域だと思います。
平鍋
どのパターンも、プロフェッショナルとして望ましい状態ではないと思います。もちろん勉強中の方もいると思いますが、そこに甘えてはいけません。ただ、異なる立場から文句を言うと対立に発展してしまう可能性も高いので、相手へのリスペクトを持ち、上司に働きかけるなどよい解決方法を探る必要がありますね。
最上
さらに、自分の専門領域に加えて、「+α」を持つことも重要だと思います。もちろん、お互いの立場を理解することも含みます。
平鍋
これからはT字型ではなく、π字型の人材にならないと厳しい時代ですからね。
最上
単なる粗探しではなく、相手に本意があるかを確認するために「あなたはどう思いますか?」と、問い返してみるのは一つの方法です。
平鍋
よい返し方ですね。なぜそういう態度になるのかを考えると、過去の経験や、自分の立ち位置への不満が影響していることもあります。まずは耳を傾けてみるとよいかもしれません。
平鍋
まずはバックログを明確にして、関係者全員でそれを眺めながら優先順位を話すことが大切です。
かの野中郁次郎先生は「まずは合宿をしなさい」と言っていました。いきなり結論を出すのではなく、互いの立場やこれまでの経緯、思いを話すところから始める。そうすることで、お互いの考えが場に共有され、一人ひとりを生身の人間として知り合ったうえで議論ができるようになります。
また、有名なホンダの「ワイガヤ」では、1日目は「I」の話、2日目は「We」の話、3日目は「I am HONDA」として組織を主語に話し合う、というふうに変化していくそうです。
最上
組織内でのBizDevOpsの定義や目的にもよりますが、答えはNoです。一丸となって価値を生み出すことがゴールなので、IT環境は必須条件ではありません。
平鍋
DX本部を置かず、全員で取り組むという選択をしている会社もあります。自分ごととして向き合う姿勢が大切だと思います。
セミナーは、平鍋氏の「アジャイルと書いて、悩むことと読む」という印象的な言葉で締めくくられました。セミナー本編は、YouTubeでも公開されています!
その後、福井拠点では平鍋氏と最上を囲んだ交流会が行われました。
東京のサテライト会場では、アジェンダを決めず参加者の合意でトピックを選んで進めるリーンコーヒー形式での感想戦が行われました。
アジャイルやDevOpsを「手法」として学ぶだけでなく、現場で生まれる悩みや葛藤にどう向き合い、対話を通じて前に進んでいくのか。
今回のセミナーが、参加者一人ひとりが自分の立場や現場に立ち返り、考えるための多くのヒントを持ち帰る機会となっていれば幸いです。
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