変化が激しく複雑性の増すビジネス環境において、顧客のニーズに柔軟に応え続けるため、ソフトウェア開発において注目されているフレームワークが、アジャイル開発手法の一つであるスクラムです。
近年ではITの開発現場だけでなく、さまざまなビジネスの現場においてスクラムの考え方が取り入れられるようになりました。
この記事では、スクラムの実践に役立つスクラムマスターの認定資格について、資格取得が注目される理由と、代表的な3つの資格である「Certified ScrumMaster®」「Professional Scrum Master™」「Registered Scrum Master™ Training」それぞれの特長、資格を選ぶ際のポイントを紹介します。
スクラムの原理原則を浸透させ、チーム全体が円滑にプロジェクトを行えるように支援する重要な役割を持つのがスクラムマスターです。
スクラムを導入する企業が増える一方、現場でスクラムマスターを任された方からは、見よう見まねでやってはみたけど「チーム運営が難しい」「実際に、メンバーにどんな働きかけをすればいいのかわからない」といった悩みの声がよく聞かれます。
そこでおすすめしたいのが、スクラムマスターの認定資格の取得です。実務において取得取得は必須ではありませんが、大きく3つのメリットがあります。
スクラムマスターの認定資格に挑戦する過程で身に付けた正しい知識やフレームワークは、チームメンバーへの浸透やスムーズなチーム運営を助けてくれるのです。
初めてスクラムマスターの認定資格取得を目指す場合には、主に3つの認定資格が代表的です。それぞれの特徴と受講費用・概要などを詳しく解説します。
CSM®は、2001年に設立されたScrum Alliance®(スクラム・アライアンス)という認定団体が提供するスクラムマスターの認定資格です。3つの認定団体の中では最も歴史が古く、複数の研修実施団体によって講座が提供されています。日本での受講者・認定者数が多いのが最大の特徴です。
CSMの合格には、研修中の受講態度も重要視されるため、注意して参加しましょう。Scrum Alliance®では、A-CSM℠(Advanced Certified ScrumMaster)や CSP®-SM(Certified Scrum Professional®-ScrumMaster)など、さらにスクラムの知識を深めたい方向けに上位資格の提供も行っています。
※詳しい情報やお問い合わせに関しては、公式サイト(英語表記)をご覧ください
https://www.scrumalliance.org/
PSMは、Scrum.org(スクラムドットオルグ)が提供する認定資格です。
Scrum.orgは、Jeff Sutherland氏と同じくスクラムの共同創案者であるKen Schwaber氏によって、「正しいスクラムの普及」を目的に2009年に設立されました。現在は認定試験が英語のみの提供となっているため、日本ではまだ認知度が高くありませんが、世界に80万人以上(2023年6月現在)の認定資格者を有する団体です。
資格を取得するには、「公認トレーナーによる研修受講からの受験」もしくは「試験のみの受験」の2通りの方法があります。
認定資格の更新・維持費が必要ない点が上記2つの認定試験と大きく異なります。ただし、試験の問題数が多く合格ラインも高いため、しっかりとした対策が必要です。Scrum.orgの公式サイトではOpen Assessment(模擬問題)も提供されているほか、継続学習のためのコンテンツも発信されています。
PSMの上位資格には、Professional Scrum Master™ IIとProfessional Scrum Master™ III があります。
※詳しい情報に関しては、公式サイト(英語表記)をご覧ください
https://www.scrum.org/
※ITプレナーズではScrum.org™のProfessional Scrum Master™ (PSM)の認定資格に対応するトレーニングを日本語で提供実施しています。
https://www.itpreneurs.co.jp/training/psm1/
RSMはScrum Inc.(スクラムインク)が提供するスクラムマスターの認定資格です。
Scrum Inc.はスクラムの考えを最初に提唱した1人であり、スクラムの生みの親と呼ばれるJeff Sutherland氏が設立。2017年4月より認定資格がスタートしました。
2019年1月には、KDDI株式会社、株式会社永和システムマネジメントと米国 Scrum Inc.社の3社でScrum Inc. Japan合弁会社を設立し、日本国内での活動に特に力を入れているようです。
資格の有効期限は他に比べてやや短いものの、問題数が少なく合格率も高いため、初めてスクラムマスターの認定資格に触れる場合は取り組みやすいかもしれません。
※詳しい情報やお問い合わせに関しては、公式サイトをご覧ください
https://scrumincjapan.zendesk.com/hc/ja
また、永和システムマネジメントの同認定トレーニングでは日本独自の事例を組み込んだコースが提供されています。
https://www.agile-studio.jp/scrum-master-training
資格の勉強や受験を通じて、スクラムマスターに関する体系的な知識を習得することは、今後の実務において大きなサポートとなるでしょう。
名前は似ている3つの資格ですが、試験の問題数や合格ラインなど、特長はそれぞれ異なります。それぞれの研修や試験内容において、比較検討すると良いポイントは下記のとおりです。
これらのポイントを踏まえて、ぜひ自身の目的に合う資格を取得してみてはいかがでしょうか。
ITプレナーズでは、Professional Scrum Master™ (PSM)の認定資格に対応するトレーニングを日本語で実施しています。詳しくはお問い合わせください。