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連載「SIAM™ はじめの一歩」第8回:SIAM™の歴史

2022.10.31

イギリス政府の新ICT戦略

2010年に、イギリス政府は新しいICT戦略(情報通信技術戦略)を発表しました。そこには、従来のプライムサプライヤ契約(主要なITアウトソーサを中心にITサービスの提供を契約する方式)から複数のサービスプロバイダやクラウドサービスを使用するアプローチへ転換することが記載されていました。この戦略を成功裏に実現させるため、イギリス政府は複数のサービスを統合するためのアプローチを支援する戦略も発表しました。これにより、SIAM™の開発が加速しました。

2012年にはイギリス政府から 「Cross Government Strategic SIAM Reference Set」が発行され、SIAM™の認知度が世界に広まりました。

以上のことからもわかるように、SIAM™はITサービスの統合についてまとめられたものです。

 

コンセプト(概念)は以前からあった

複数のサービスプロバイダによる複数のサービス提供を取りまとめて統合したり、協調・協働するための仕組みや体制(エコシステム)を形成するという取り組みは以前から実践されてきました。例えば、SIer(システムインテグレータ)やプライムベンダと呼ばれるITアウトソーサが実施してきたとも言えますが、サービスの統合に特化してその目的や必要となるスキルや能力、ガバナンスやマネジメント、組織等について改めてまとめたのがSIAM™と言えます。

 


著者紹介

株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィック
最上 千佳子

システムエンジニアとして提案、設計、構築、運用、教育など幅広く経験。2008年、ITサービスマネジメントの教育とコンサルティングを行うオランダQuint社の日本法人、日本クイント株式会社へ入社。ITIL® 認定講師として多くの受講生を輩出。2012年3月、代表取締役に就任。ITSM、リーン、アジャイル、DevOps等、ITをマネジメントにより強化しビジネスへ貢献するための、人材と組織の強化に従事。2022年4月日本クイント株式会社は、BBTグループの株式会社ITプレナーズジャパン・アジアパシフィックと統合。
著書:「ITIL® はじめの一歩 スッキリわかるITILの基本と業務改善のしくみ(翔泳社)」「ITIL®4の教本 ベストプラクティスで学ぶサービスマネジメントの教科書(翔泳社)」